ソベルテクァイユ、pot-pourri cafe

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http://uiyun.fya.jp/


ケフィアプラス+
三糸ひかり(ソベルテクァイユ)
高根ゆん(pot-pourri cafe)
ケフィア菌にかもされた古典文学の解説書、と言えばいいんでしょうか。
なんでケフィアなの?と疑問がわくもののセンスの良い古典のパロディに笑かされます。というか、この本に収録されている文章を作者の二人が執筆している姿を想像するだけでそのバカバカしい労力に笑いがこみ上げてきます。
文学好きならしのごの言わずに読むといいと思う。作者の意図に乗せられてみればきっと幸せになれます。



●MOJIの群レ
三糸ひかり(ソベルテクァイユ)
たいへん感想の書きにくい作品です。
一貫したストーリーはなく苦労して文意を追えば気まぐれにはぐらかされる。かといって読み込んでいけばなんとなく意味が分かるような気がする。読者は分かるような分からないような文章の中を作者の意図を求めてさまようことになります。
しかし、三糸氏の文章は美しく洗練されており、たとえ意味不明でも追いかけるだけの価値があります。読めば脳内物質が分泌され快感がもたらされます。
解説で三糸氏のドS具合について言及されていますが、これは正しい。読者を、美しい言葉を読む快感で誘っておきながら意味不明の砂漠に放り込む。これがドSと言わずして何と言うのか。読者は快感と苦痛を同時に与えられる喜びに打ち震えつつこの本を読まなければいけないのです。



●子どもには知らなくていいことが、ある。
高根ゆん(pot-pourri cafe)
夏休み、母親の出産を理由に田舎に住むおじの家に預けられた少年が経験する出来事。少年は夏の終わりに大人の世界に一歩足を踏み入れる。
田舎で過ごす夏休みの描写が濃密で良かった。夏の陽射し、波打つプールの表面、蚊取り線香、台所から漂う甘辛い煮物の匂い。子供が五感を大きく開いて全身で世界を感じている様子が伝わってきた。
できればもう少し謎解きをして欲しかった気もしますが、少しぞっとする物語の幕切れは見事で、とても面白かったです。