文学フリマ前に頂いた感想のまとめなど

ここのところ同人誌の感想を何件か頂いていたのでまとめて紹介します。感想を頂くといろいろ考えますが、最終的には「ありがとうございます!嬉しいです!」としか言えないんですけど!励みになります!まだまだ続けて行くのでまた読んで下さい!



●「本当はこの文章系同人がすごい2」(id:ibuse)
文学フリマの買い物の参考になる「文章系同人誌の紹介本」です。文学フリマ当日発売の2号に「西瓜鯨油社」の牟礼鯨さん(id:murekujira)と「コワカエ」のtakatakoさん(id:takatako)が「絶対移動中vol.6みどりの…」の感想を書いてくれたという情報が入っています。
どちらも素敵な本を出しているサークルさんなのですごく嬉しい。当日が楽しみです。



●「なんて退屈。」渡邊利道さん(id:wtnbt

http://d.hatena.ne.jp/wtnbt/20100517
「絶対移動中vol.5身体感覚」の各作品の感想です。高橋百三さん集中ベスト、蜜蜂いづるさんはもっとダークな展開を!だそうです。私ももっとダークないづるさんを読みたいです。

丁寧に読んで頂いているし、ハードルを高めに設定していろいろ指摘して頂いている。大変ありがたいです。愛を感じました。そのハードルどころかもっと高い場所に行けるよう精進します。



●「サロン・ド・マロリーナ」竹内みちまろさん

非常に真面目に文芸同人誌に取り組まれている竹内みちまろさん。絶対移動中の4、5、6の感想を書いて頂いています。
ただ掲示板の仕様で古い記事は消えていくようで「絶対移動中vol.6みどりの…」の感想は残念ながら消えています。しまったぁ…。4,5の感想は引用しておきます。


絶対移動中第四号 自由+不自由
http://9308.teacup.com/salon/bbs/93

「絶対移動中 第四号 自由+不自由」:先日、第1回神保町ミニコミフリマにお邪魔させていただきました。会場が漫画喫茶さんという条件もあったと思いますが、独特の雰囲気で楽しかったです。貸本漫画についてのトークライブも、聴講者からたくさんの質問が出ていて、笑いもあり、充実していました。完全原稿の持ち込みでほとんど編集者の目を通さずに印刷へ回されていたことや、中学生・高校生の持ち込みがたくさんあったことや、少女向け漫画が隆盛だったことなど、感慨深い話を多数聞かせていただくことができました。そこで「絶対移動中 第四号 自由+不自由」を入手させていただきました。

 巻頭小説「アレが見えたとしても」(橋本賢一)は、読み終えて、作品の中の虚構が読者の現実へ訴えかける作品でした。題名にもある「アレ」とは、強いて言えば超能力ということにでもなるのでしょうか。ここでふと考えました。超能力とは、特別な能力ということでしょうか。でもそれなら、「超える」という文字が適用されている理由がわかりません。「超える」ということなので、「超能力」とは、「(能力とは別の)能力を超える何か」ということであるような気がします。たぶん、「能力」という言葉の定義が問題なのだと思います。鳥は空を飛ぶ能力を持ちますが、人間にはありません。なので、人間が空を飛んだら、超能力だと思います。ただ、人間を基準に考えた場合、犬の嗅覚能力は、人間の嗅覚能力を超えているような気がします。視力検査でいえば、麻薬犬には、「5.0」が見えたり、「10.0」が見えたりするイメージ。ただ、においをかぎ分ける能力は、人間も犬も同じといえるかもしれません。人間と犬で違うのは、能力ではなくて、程度だけと判断することも可能であるような気もします。「2.0」であろうと、「20.0」であろうと、視力であることに違いはありません。さすがに人間が空中を浮遊したらそれは「すごい」とは思いますが、「超能力」と聞くと、何か「すごい」ことでもあるように半ば無意識的にとらえてしまいがちなのですが、けど、多くの場合は、「3.0」まで見えてしまうという程度なのかもしれません。視力が低くて困るのであれば眼鏡をかければよいわけですし、まぶしければサングラスを利用すればよいのだと思います。「3.0」という数字が重要なのではなくて、ようするに、それとのつきあい方の問題ということでしょうか。そう考えると、「アレが見えたとしても」という題名が心に響きました。

 「台風のどまんなかで」(密峰いづる)はよかったです。きゅるるんとしました。私は男二人兄弟なのですが、女兄弟や、女の子のいる家庭のことはわかりません。妹が本棚を指摘したり、兄が(エッチな)ゲームの中の「嫁」を大切にしていることを公言する個所を読んで、当初は、そんなものなのだろうかと、やや疑問に思いました。でも、読み終えて、すべてがつながっていました。見事だと思いました。推敲はそうとうにしている作品だと思います。読者へ向けた作者のまなざしを感じさせるラストもよかった。

竹内さんは橋本さんと相性が良いのかな。刺激されていろいろ考えて頂いているようで何よりです。4号の蜜蜂いづるさんの小説に「きゅるるん」としたそうです。きゅるるん、て。か、かわいいですね。



絶対移動中vol.5 身体感覚

http://9308.teacup.com/salon/bbs/83

「絶対移動中5 身体感覚」:絶対移動中さんの6は、確か、読ませていただいた記憶があります。新刊はまだとのことでしたので一つ前の5を購入させていただきました。「箱の中の私の生活」(伊藤鳥子)がよかったです。慌ただしい職場での出来事と、熱があってだるい体を引きずる主人公の回想と内面描写が併走する形の作品でした。もともとのスタイルなのか、制御しているのかはわかりませんが、どこか冷めたようなたんたんとした文体が場面の切り替えや物語の展開を引き立てていると思いました。コントロールしてやっているのであれば、相当の技術です。すごい小説を書く人はたくさんいるのだなあ、と思いました。

文体を褒めて頂いて嬉しいです(照)